前歯のインプラント治療が出来ないケース
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前歯のインプラント治療が難しいケース

前歯のインプラントを検討されている患者さまで、治療が難しいと断られたことはありませんか?
インプラント治療は、インプラント(人工歯根)を歯槽骨(歯を支えるあごの骨)に埋め込んで歯根(歯の根っこ)の代替とすることで、元の歯と変わらない機能を回復する治療です。そのため、埋め込む歯槽骨にインプラントが安定するスペースが確保できることが非常に重要と言えます。
前歯の歯槽骨が元々他と比べて厚さがないこともあり、歯周病や外傷などの原因を伴って歯槽骨が吸収されて(溶けて)治療が困難になってしまうケースがあります。
前歯のインプラントが困難になる原因と対策?

前歯のインプラントが困難になる原因
前歯のインプラント治療は、主に以下のような原因で困難になります。
- 外傷
- のう胞、腫瘍
- 歯周病
- 歯根破折
- 過重咬合
前歯のインプラントが困難な場合の対策
◆早期に抜歯をして周囲の骨を修復させる
歯周病が悪化して骨が吸収されているような状況では、歯や骨の状態にも寄りますが、将来的にインプラントにする可能性があるのであれば、早期に抜歯および原因になっている細菌を除去することが好ましいです。
治療を行えば4~6か月程度で骨の再生が見込めます。状態が悪くなればなるほど骨の再生できる量に悪影響があります。このような場合では極力抜かずにだましだましながら得させてしまうことは却ってマイナスです。
適切な診断を行うためには、平面的なX線写真ではなく、骨の状態を立体的に見れるCTを使って経過観察することが望ましいです。
◆骨造成治療を行う
骨の高さや厚みが不足している場合に人工骨で補う治療です。
◆骨拡大治療を行う
インプラント(人工歯根)を歯槽骨(歯を支えるあごの骨)に埋め込む際には、通常ドリルで骨を削りますが、極細の器具を使って骨に穴を開けて、徐々に太い器具に変えていくことで穴を拡大していくのが骨拡大治療です。
骨が薄い場合でも治療が可能になる場合があります。
◆形状に特徴のあるインプラントを使用
骨に厚みがない場合は細いインプラント、骨に高さが足りない場合には短いインプラントといったように、一般的なインプラントとは異なる形状のインプラントを使用することにより治療が可能になる場合があります。
◆傾斜埋入
骨が少なくなっている箇所を避けて斜めにインプラントを埋め込む治療ですが、治療が可能になる条件はかなり限定的になります。
この他、骨の状態によっては可能になるケースもあります。
リスクを伴う場合には、インプラントを避けブリッジや入れ歯を選択することも検討する必要があります。
骨造成(GBR)による前歯のインプラント治療

前歯に厚みがない場合に行う骨を増やす治療がGBR(骨誘導再生)です。
重度の歯周病や失った歯を長期間放置することで、歯槽骨は吸収されて(溶けて)痩せてきてしまいます。このような状況で、インプラントを埋め込むと骨から露出してしまうしため、骨を増やす必要があります。
GBRは、インプラントを埋入後に骨補填材で補い、人工膜(メンブレン)で覆って骨のスペースを作り再生を誘導する治療法です。
骨造成の問題点
骨造成は難しい症例において、インプラント治療を可能にする方法の1つですが、事前に検討すべき問題点もあります。
◆GBRにおける合併症の研究データ
- メンブレン使用時に合併症が5~20%確認された
- GBR後の合併症(メンブレンの露出、歯肉退縮、炎症、排膿)が16.8%確認された
- 自家骨ブロック骨移植で合併症(粘膜開いた、骨露出、神経麻痺など)が21.4%確認された
◆BGRの問題点
- 骨補填材として多く使用されている牛骨は、将来的に未知の感染症リスクがゼロではない
- 造成した骨は強くないこともあり、噛む力に対してインプラントをどの程度支えているか不明
- 造成した骨は感染を起こしやすく、場合によっては元の骨より減ってしまうことがある
- 造成した骨は自然に消失することがある
- 手術が複雑化するため、腫れ、痛みも強くなることがある
- インプラント埋入+追加手術は生体治癒能力に負荷がかかる(血流障害を起こしやすい)
- 喫煙者、全身疾患、清掃不良などに成功率が左右されやすい
このような点から、当法人では極力、骨造成は回避する方針としています。
◆GBRを回避する方法
- 細いインプラントの使用
- 短いインプラントの使用
- 骨拡大治療
- 欠損が複数の場合、骨が無い箇所を避ける
- 傾斜埋入
- インプラント以外の治療法を検討
前歯は噛むこと以外に見た目が重視されるので、安易に骨造成をするのではなく、リスクを考慮して検討する必要があります。
笑った時に歯ぐきが唇で隠れる人は、歯肉が凹んでいてもあまり気にならない方が多いですが、笑った時に歯ぐきが見える方は、歯肉移植での回復の方が良い場合もあり、当院では総合的なご提案をさせていただきます。
インプラント治療した前歯の10年後

前歯のインプラントでは、目立つということもあり長期的に審美的な問題が起こる場合があるため、考慮して治療する必要があります
想定される長期的な問題
- インプラント周囲炎:インプラント特有の歯周病のような病気
- 歯ぐきに小さい穴があき、人工骨の粒が出てくる
- 歯ぐきが加齢により薄くなりインプラント(人工歯根)が透けて見える
- 歯ぐきが加齢により下がり、インプラントや土台が露出する
- インプラントの位置が移動し隣の歯との間が空く
- インプラントの動揺(ぐらぐらする)
- インプラントの脱落(抜ける)
- インプラント体とアバットメント(土台)をつなぐネジの緩み・破折
※3・4はジルコニアインプラントや歯肉移植で回避可能
長期的な問題が起こる要因
- 歯ぎしりや食いしばりなどで上下の歯の接触時間が長く過剰な力がかかる
- かみ合わせの問題(かみ合わせが深いなど)
- 骨が薄い
- 歯ぐきが薄い
- 人工骨を使用した骨造成を行った場合の感染症
- 喫煙
- 全身疾患
- 清掃不良
- 唾液量の減少
- 歯ブラシの圧が強い
- 残存セメント
神奈川で前歯のインプラントでお困りの方へ
前歯を失った場合には、審美性の回復が重要になります。当院では、絶対にインプラント治療という結論ありきの治療方針ではなく、患者さまの状態や希望、ライフスタイルなどを総合的・俯瞰的に判断した最良の治療をご提案いたします。
神奈川で前歯のインプラントを検討されておられる患者さまは、是非当院までご相談ください。