インプラントを付け替えることはできるの?知っておきたい基本知識
お役立ち情報 2021/03/24
インプラントを付け替えることはできるの?知っておきたい基本知識
インプラントの寿命はおよそ10年といわれていますが、インプラントの上部構造である補綴物はインプラント体である人工歯根よりも、過酷な環境下にさらされているため5年~10年で経年劣化していくことも多く報告されています。そこで今回は、インプラントの上部構造の付け替えができるのか、末永く維持するためにはどんな対策が必要なのか、詳しくご紹介して参ります。
インプラントの基本知識をおさらい

まずは、インプラントの基本知識をおさらいしていきましょう。インプラントは、人工歯根であるインプラント体と、人工歯にあたる上部構造、それら2つを結合させるアバットメントで構成されています。インプラント体と呼ばれる人工歯根部分は、人骨と唯一結合する金属で知られるチタンでできており、強固に結合させることでお口の中で維持しています。
人工歯である補綴物は、インプラント体の上に設置されたアバットメントで固定され、お口の中で維持することができます。人工歯とアバットメントは着脱が可能であるため、メンテナンス時や、補綴物に補修が必要になった場合には、人工歯を外すことができます。
なぜインプラントの付け替えが必要になるの?

冒頭でもご紹介したように、インプラントの平均寿命は10年と言われています。しかし、定期的にメンテナンスを受け、十分なセルフケアを長期に渡りおこなっている場合には、10年、15年とインプラントを維持できているケースも多く報告されています。
一方、インプラント体は問題なく顎の骨である歯槽骨と強固に結合しているのにもかかわらず、上部構造である補綴物が破損してしまったり、変色して審美的に劣ってしまったりしている状態に陥るケースも多く報告されています。経年劣化にともないひび割れ、破損、変色したインプラントの上部構造をそのまま放置することは望ましくありません。
放置したままでいると、咬み合わせに支障がでたり、周辺組織まで影響を与えてしまったりするリスクがあるため、インプラントの上部構造である補綴物に問題がある場合には、速やかに付け替えましょう。
インプラントの付け替えはどうやっておこなうの?

インプラントの上部構造になんらかのトラブルがあった場合「インプラントを一から埋め直さないといけない」と想像する人も少なくありませんが、インプラント体と歯槽骨が強固に結合し問題がなければ、インプラントの補綴物だけを付け替えることができます。
インプラントの付け替えは、まず既存の補綴物をアバットメントから外した後、新たに装着する補綴物を作製するために、歯型を採取します。このとき重要なのが、新しく作製する補綴物の種類です。ここ10年から15年の間に、耐久性や審美性に優れた補綴物がいくつも誕生しているため、この先も末永くお口のなかでインプラントを維持するために耐久性や審美性も備わった補綴物を選択することをおすすめいたします。
インプラントで付け替えできる補綴物の種類は?

インプラントの上部構造に適応する補綴物は、10年15年で瞬く間に成長を遂げ、ジルコニアのように、人体に影響を与えず、尚且つ審美性や耐久性、機能性にも優れた補綴物が誕生しています。
現在インプラントの上層構造として装着する主な補綴物は以下の通りです。
▼ジルコニア
人工ダイアモンドとして知られ、セラミック包丁やスペースシャトルの外壁、人工関節などにも採用されています。強度に優れ、ひび割れや破損、更には変色しにくい素材であり、天然歯のような透明感を再現することができます。
【メリット】
・透明感のある天然歯のような白さ
・強度に優れている
・変色しない
・金属アレルギーの心配がない
【デメリット】
・費用が高価
▼メタルボンド
金属の土台に陶器であるセラミックを焼き付けた補綴物です。土台に金属を使用しているため、透明感は欠けてしまいますが強度に優れ、奥歯に採用されることも多くあります。
【メリット】
・ジルコニアに比べると比較的安価
・強度に強い
・変色しない
【デメリット】
・金属アレルギーのリスク
・金属イオンの流出による、歯肉辺縁黒ずむ恐れ
・透明感に欠ける
▼ハイブリット前装冠
セラミックとレジン(プラスチック)を混合させたハイブリットセラミックを金属の土台の表面に焼き付けた補綴物です。プラスチックが含まれるため変色しやすく、強度もやや弱いとされています。
【メリット】
・他の補綴物に比べると比較的安価
【デメリット】
・透明感がない
・強度はやや劣る
・変色の恐れがある
▼銀歯
スタンダードな補綴物である銀歯は、金、銀、銅、パラジウムなど数種類の金属の合金です。食いしばりや、歯ぎしり、経年劣化にともない金属イオンが流出して周辺歯肉を変色させてしまったり、金属アレルギーを誘発してしまったりする恐れがあります。
【メリット】
・健康保険適応するため安価
【デメリット】
・金属アレルギー誘発の恐れ
・審美性に欠ける
・歯肉辺縁の変色
これらのように補綴物にはそれぞれ特徴があります。一般的には、インプラントの上部構造となる補綴物には、保険が適用されない審美性、機能性、耐久性にも優れた補綴物が多く採用されます。インプラントを付け替える際には、メリット・デメリットをしっかりと把握した上で、自身にあった補綴物を選択しましょう。
以上今回は、インプラントの上部構造である補綴物は付け替えることができるのか、付け替える場合にはどのような補綴物が適応されるのか、基本知識をご紹介してまいりました。
インプラントは第2の永久歯と呼ばれる程に利便性の高い補綴物でありますが、入れ歯やブリッジとは異なり、施術に高度な技術を必要とするイメージがあるため、補綴物を付け替えることを諦めてしまう人も少なくありません。
しかし、すり減った補綴物をそのまま使用している場合には、咬み合わせに問題があったり、変色したまま使用していては審美的に欠けたままであったりする恐れもあるため、インプラント埋入から10年以上経過した際には、補綴物の付け替えも視野に入れましょう。